予防接種
予防接種
◆予防接種は電話で予約をお願いします。ワクチンの在庫があれば当日の接種も可能です。
◆入荷が困難なワクチンの情報はお知らせを確認してください。
◆乳児は健診も一緒にできますのでご相談ください。
(例. 1歳の麻疹風疹・水痘・おたふくワクチン+1歳健診
◆受診時は母子手帳をお持ちください。定期接種の場合は横浜市から送られてくる予診票もお持ちください。予診票は事前にご記入いただくと接種がスムーズです。
◆1週間以内に発熱があった場合やお風邪の症状によっては接種ができないこともありますのでご注意ください。
【定期接種と任意接種について】
- 定期接種:接種対象年齢であれば公費で負担されるため無料で接種ができます。
- 任意接種:定期接種以外のワクチン。自費での接種となるためご希望の方のみ接種します。
小児の予防接種
身の周りには感染症の原因となるさまざまな病原体が存在します。重症な感染症の原因となる細菌やウイルスに対する免疫力をつけるため、生後2か月から予防接種を行うことが大切です。
0歳の予防接種
ヒブワクチン(定期接種)
乳幼児の細菌性髄膜炎の主な原因となるインフルエンザ菌b型(Hib:ヒブ)に対する免疫をつけるためのワクチンです。髄膜炎はヒブが鼻やのどから入り、脳を包む髄膜に炎症を起こすことで生じます。早期の症状は発熱と不機嫌くらいでかぜと区別できないことも多いため早期診断が難しく、また診断がついても治療が困難なこともあります。命に関わることや脳に後遺症を残すことが多い病気です。日本ではヒブワクチンの導入により乳児の細菌性髄膜炎が劇的に減りました。
ヒブワクチンは生後2か月から約4週間ごとに接種し、細菌性髄膜炎が起こりやすい生後6か月までに3回接種を済ませるようにしましょう。1歳になったら追加接種をします。生後2か月から肺炎球菌・B型肝炎・ロタウイルスと同時接種をおすすめします。
肺炎球菌ワクチン(定期接種)
肺炎球菌はインフルエンザ菌と同様、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因菌です。肺炎球菌による細菌性髄膜炎は死亡率が7-10%、後遺症率が30-40%とヒブによる細菌性髄膜炎に比べて倍くらい高く重症です。また、肺炎や中耳炎などの感染症の原因にもなります。生後2か月から約4週間ごとに接種し、髄膜炎が起こりやすい生後6か月までに3回接種を済ませるようにしましょう。1歳になったら追加接種をします。ヒブ・B型肝炎・ロタウイルスと同時接種をおすすめします。
四種混合ワクチン(定期接種)
ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオの感染を予防するワクチンです。百日咳は免疫力の未熟な赤ちゃんがかかると重症化しやすく、大人の間でも流行しているため、注意が必要です。生後3か月になったらなるべく早く1回目の接種を受けましょう。その後は3-8週間隔で2回接種します。ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎ワクチンなどと同時接種が可能です。1歳半頃に追加接種を行います。
BCG(定期接種)
結核感染を予防するためのワクチンです。乳幼児が結核に感染すると、粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)という重症の肺結核や結核性髄膜炎になり脳に後遺症を残すこともあります。結核患者の少ない先進国ではBCGワクチンの接種をやめている国もありますが、日本ではまだ高齢者に多く、学校や職場での集団感染もあるため、ワクチン接種による予防効果が期待できます。乳児期の結核はとても少ないため、ヒブ・肺炎球菌の接種を終えた生後5~8か月での接種が推奨されています。生後5か月頃に四種混合ワクチン(3回目)と同時接種をおすすめします。スタンプ式の生ワクチンです。
B型肝炎ワクチン(定期接種)
B型肝炎ウイルスの感染を予防するワクチンです。B型肝炎ウイルスは感染力が強く、B型肝炎を持った母親(キャリア)から分娩時にこどもに感染したり(母子感染)、ウイルスを含む血液の輸血や性交渉などで感染したりすることがあります。B型肝炎ウイルスに感染し、肝炎を起こすと、劇症肝炎といって急激に重い症状で亡くなることもあります。また、肝臓に住みついたウイルスに対して適切な治療をしないと小児でも肝硬変や肝臓がんへと進行することがあります。B型肝炎ワクチンは2016年10月から定期接種となりました。母親がキャリアでない場合は生後2か月からヒブ・肺炎球菌・ロタウイルスとの同時接種をおすすめします。
ロタウイルスワクチン(定期接種)
ロタウイルスによる胃腸炎を予防するワクチンです。胃腸炎の原因となるウイルスの中でもロタウイルスは感染力が強く、5歳までに少なくとも1回は感染すると言われます。頻回の嘔吐や下痢のため脱水を起こし、特に乳幼児が感染すると重症になりやすいです。脳炎や腎障害などの重い合併症をおこすこともあります。
ロタウイルスに感染しても根本的な治療法がないため、ワクチンによる予防が重要です。ロタワクチンは2020年10月から定期接種となりました。ロタワクチンは飲むタイプの生ワクチンです。ロタテックとロタリックスの2種類があります。当院ではロタテックを使用しており、生後2か月から4週間間隔で3回接種します。他院でロタリックスの初回接種をされた方は2回目もロタリックスで接種が必要となりますのでお申し出ください。
生後6週から接種できますが、生後2か月からヒブワクチン・肺炎球菌・B型肝炎と同時接種をおすすめします。遅くとも生後14週までに1回目の接種をするようにしましょう。
1歳からの予防接種
麻疹風疹混合ワクチン(MR)(定期接種)
麻疹(はしか)と風疹を予防するワクチンです。麻疹は麻疹ウイルスによっておこります。感染力がとても強く空気感染をします。感染して約10日後から、発熱・咳・鼻水・目やになど風邪のような症状が出ます。発熱3-4日後から体に赤い発疹が出て口の中には白いブツブツ(コプリック斑)がみられます。高熱は7-10日間ほど続きます。肺炎や脳炎などの重い合併症がおこり、亡くなる人もいます。また、麻疹にかかってから数年後に知能の障害や痙攣が起こる、亜急性硬化性全脳炎という難病もありますが、残念ながら治療法はありません。
風疹は風疹ウイルスによる感染症です。感染してから約2-3週間後に熱が出て、首のリンパ節の腫れや体に発疹が出てきます。大半は軽症でおわりますが、重症になると脳症や血が止まりにくくなる血小板減少紫斑病などの合併症があります。
1歳になったらなるべく早く1回目を接種します。水痘やおたふくかぜと同時接種ができます。年長さんで2回目の接種をします。予防接種の副反応として接種後1週間くらいで発熱が出ることがありますが、通常は1-2日でおさまります。
近年、働き盛りの世代での流行が問題になっています。この世代はワクチンの接種回数が十分でないため、風疹にかかりやすくパートナーにうつすこともあります。妊娠初期の女性が風疹にかかると赤ちゃんが生まれつき難聴・心臓病・白内障。精神運動発達遅滞などの病気(先天性風疹症候群)を持って生まれてくる危険性があります。パパがワクチンを受けていないとパパから妊娠中のママへうつることがあります。妊娠を考えている女性はもちろんのこと、パパがワクチンを受けていない場合や抗体がなくなっている場合も必ず予防接種をするようにしましょう。
水痘ワクチン(定期接種)
水ぼうそうの原因となる水痘帯状疱疹ウイルスの感染を予防するワクチンです。感染力がとても強く空気感染をします。感染すると2-3週間の潜伏期の後に、体に虫刺されのような赤い斑点が出てきます。それが水ぶくれになって全身に広がります。強いかゆみを伴い熱が出ることもあります。水ぶくれは次第にかさぶたのようになり1週間程度でおさまります。すべての発疹がかさぶたになるまでは感染力があるため登園や登校は中止となります。水ぼうそうの多くの場合は軽症ですみますが、0歳児、7-10歳以上、皮膚の病気のある人などは重症になりやすく、脳炎や肺炎や皮膚の細菌感染症などの合併症をおこし、亡くなることもあります。予防接種をしてもかかることはありますが、症状は軽くすむことが多いです。
1歳になったらなるべく早く1回目を接種し、半年後に2回目を接種しましょう。
水痘ワクチンは2014年10月から定期接種となりました。定期接種になる前の年代のお子さん達は重症化することもあるため、任意接種にはなりますが2回接種をおすすめします。
おたふくかぜワクチン(任意接種<自費>)
ムンプスウイルスによるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防するワクチンです。世界の多くの国ではおたふくかぜワクチンは定期接種で2回受けているため流行はあまりありません。残念ながら日本ではおたふくかぜワクチンは任意接種で接種費用が自己負担であることや1回しか接種をしていない人が多いことなどから、毎年平均約60万人がかかっています。感染すると2-3週間の潜伏期の後に、両方またはどちらかの耳下腺が腫れてきます。熱が出ることもあります。軽症の場合は約1週間でよくなりますが、重症になると激しい頭痛や嘔吐を伴う無菌性髄膜炎や難聴、脳炎などを合併することがあります。難聴になると治療は難しく一生治らない重度の難聴になることもあります。
1歳で1回目を接種します。水痘や麻疹風疹混合ワクチンと同時接種がおすすめです。1回目接種から4-5年あけて2回目を接種します。2回目は年長さんの麻疹風疹混合ワクチンと同時接種をおすすめしています。
3歳からの予防接種
日本脳炎ワクチン(定期接種)
日本脳炎ウイルスに感染した豚の血液を吸った蚊を介して感染する日本脳炎を予防するワクチンです。名前は日本脳炎ですが、主に東南アジアで流行している感染症で、日本国内での患者数は年間10名以下です。西日本の養豚場の多い地域は注意が必要と言われています。かかっても症状が出ない場合が多いですが、発症するとけいれんや意識障害をきたし、重症の脳炎になると障害を残したり亡くなったりすることもあります。
3歳になったら1~4週間間隔で2回接種します。2回目の約1年後に3回目の接種をします(第1期)。さらに9歳から12歳で追加接種します(第2期)。
2005年から一時接種が見合わせとなっていたため、接種ができなかった人のための特例措置が取られています。1995年4月2日生まれ~2007年4月1日生まれの方は、20歳までは公費でワクチンを受けることができますので、日本脳炎のワクチンの接種回数を母子手帳で確認しておきましょう。該当される方はご相談ください。
就学前の予防接種
麻疹風疹混合ワクチン(定期接種)
年長で2回目の接種を受けます。
おたふくかぜワクチンの2回目と同時接種をおすすめしています。
>麻疹風疹混合ワクチンに関する詳細はこちら
おたふくかぜワクチン(任意接種<自費>)
1歳のときに1回接種をした方も、年長までにおたふくかぜにかかったことのない方は2回目の接種をおすすめします。
任意接種のため自治体から予診票は送られてきません。自費での接種になります。
麻疹風疹混合ワクチンの2回目と同時接種が可能です。
>おたふくかぜワクチンに関する詳細はこちら
三種混合ワクチン(DPT)(任意接種<自費>)
ジフテリア・百日咳・破傷風を予防するワクチンです。
0歳・1歳のときにジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオを予防する四種混合ワクチンを接種していますが、百日咳に対する抗体は就学前に低下してしまいます。小学生になって百日咳にかかることもあるため、就学前に追加接種をおすすめします。
任意接種のため自費での接種になります。
>四種混合ワクチンや百日咳に関する詳細はこちら
小学生以降の予防接種
日本脳炎ワクチン(定期接種)
9~11歳で第2期の接種をします。
2005年から一時接種が見合わせとなっていたため、接種ができなかった人のための特例措置が取られています。1995年4月2日生まれ~2007年4月1日生まれの方は、20歳までは公費でワクチンを受けることができますので、日本脳炎のワクチンの接種回数を母子手帳で確認しておきましょう。該当される方はご相談ください。
>日本脳炎ワクチンに関する詳細はこちら
二種混合ワクチン(DT)(定期接種)
ジフテリア・破傷風を予防するワクチンです。
11~12歳で接種をします。ジフテリアと破傷風の第1期の予防接種として四種混合ワクチンまたは三種混合ワクチンを接種した人に第2期の予防接種として1回接種します。
>四種混合ワクチンに関する詳細はこちら
子宮頸がんワクチン(定期接種)
子宮頸がんワクチンは子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチンです。HPVは性交渉によりうつるウイルスで子宮の入り口に感染すると子宮頸がんに進行することがあります。妊娠ができなくなったり、妊娠できても流産や早産になったりすることも多い怖いがんです。若い人ほどHPVに感染しやすく、20代前半~30代までの若い患者が多いのが特徴です。近年日本では、感染者数が急増しており、年間約1.1万人の女性が発症し、毎年約2,800人が亡くなっています。HPVはごくありふれたウイルスで性交渉の経験のある女性の50-80%はHPVに感染していると言われています。HPVにはウイルスの型が複数ありますが、子宮頸がんの原因となるHPV16型と18型は予防接種により感染を防ぐことができるため、初めての性交渉までに接種をしておくことが重要です。女の子は小学6年生から高校1年生までの間に公費で接種ができます。現在、日本で定期接種として承認されているワクチンは2種類あります。当院では4つの型のHPV感染の予防に効果的であるガーダシルを使用しています。初回接種後は2か月、6か月あけて計3回接種が必要です。
子宮頸がんワクチンの接種後に注射した部位に痛みや腫れなどの局所症状が出ることはあります。以前、接種部位の慢性的な痛みや運動障害などが子宮頸がんワクチンの副反応として報道された時期がありましたが、ワクチン接種との因果関係は証明されませんでした。大切なお子さんの命と次の世代の命を守るためにぜひ接種をするようにしましょう。
>→日本産婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに対する正しい理解のために」(外部リンク)
成人の予防接種
麻疹風混合疹ワクチン(MR)
近年、働き盛りの世代で風疹の流行が問題になっています。この世代はワクチンの接種回数が十分でないため、風疹にかかりやすくパートナーにうつすこともあります。妊娠初期の女性が風疹にかかると赤ちゃんが生まれつき難聴・心臓病・白内障・精神運動発達遅滞などの病気(先天性風疹症候群)を持って生まれてくることがあります。
パパがワクチンを受けていないとパパから妊娠中のママへうつしてしまうことがあります。パパがワクチンを受けていない場合や抗体がなくなっている場合も必ず予防接種をするようにしましょう。
横浜市風疹対策事業に該当する方(昭和37年度~昭和53年度生まれの男性)は無料で風疹の抗体検査と予防接種を受けることができます。
妊娠を考えている女性も接種をお勧めしますが、接種後2か月程度は妊娠を避ける必要がありますのでご注意ください。妊娠中の接種はできません。
23価肺炎球菌ワクチン(定期接種)
肺炎球菌による肺炎を予防するワクチンです。65歳をすぎると肺炎による死亡率が年齢とともに上昇します。高齢者は肺炎球菌による肺炎が重症化しやすいため肺炎球菌ワクチンの定期接種を受けることができます。定期接種の対象は65歳になる年度の方の初回接種に限られますのでご注意ください。2回目以降の接種は自費となります。
帯状疱疹ワクチン(任意接種<自費>)
帯状疱疹の発症を予防のためのワクチンです。帯状疱疹は過去に水痘(水ぼうそう)にかかった方の体内にウイルスが潜伏し、免疫力が低下したときに再発する病気です。発症すると発疹や激しい痛みを生じます。発疹が治った後も数か月~数年と長期間神経痛が続き日常生活に支障をきたすこともあります。50歳代以降の世代に発症率が急激に上昇するため、50歳以上の方に水痘ワクチンの予防接種が可能になりました。接種は1回のみです。
ステロイドや免疫抑制剤などの投与を行っている方は投与できませんのでご注意ください。
その他
A型肝炎ワクチン、破傷風ワクチン、髄膜炎ワクチンなど、海外渡航や海外留学を予定している方の予防接種も可能です。渡航先によって必要なワクチンが異なりますので詳しくは直接お問い合わせください。